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これから海運の仕事を目指す若い人達へ

SSJ記者
今回は海運業界に長く勤めている、新谷猛氏にお話を伺ってきました。
新谷さん、本日はよろしくお願いします。
経歴を踏まえ、いくつかご質問させていただければと思います。
では、まずこれまでの経歴を教えていただけますでしょうか?

新谷
「私は学校を卒業してから大手の海運会社に海上籍として入社しました。海陸交流制度というものがあって海上勤務と陸上勤務を交互に経験するわけですが、17年間で一般貨物船、コンテナ船、VLCC、鉱石専用船等の各種船を経験し、陸上では数百件を超える様々な海難事件の処理と法務・保険実務を経験しました。2度目の陸上勤務は定期船部で、北米航路の定期船企画・運航実務を担当して定期船の運航と採算というものを勉強しました。こうして青春時代を過ごした会社も、他の中核会社に吸収されて姿を消す事態となった機に、思い切ってケミカルタンカーを運航する内航海運の世界に転職したわけですが、そこではケミカル船営業を担当し、内航海運独特の商慣習と貨物としてのケミカル製品、そして関連国際条約が国内法に重要な影響を及ぼす時期の内航海運と近海の世界も経験しました。その後、50歳の頃に訳あって、外航の船舶管理会社に移り、そこで船舶管理の海務と外国船員のリクルートと教育訓練を担当し、併せて同業界で構成する関連団体の公共プロジェクトの仕事も多く担当しました。同社も65歳で退職し、現在は創業100年を超える某海運会社のアドバイザーをさせていただいています。」

SSJ記者
経歴がすごいですね!
ここまで数多くの経験をされていますが、ご自身の経歴を振り返ってみていかがですか?

新谷
「こうした半世紀の経歴は、仕方がなかった面もありますが私自身が選んだ道です。波乱万丈という人もいますが、好むと好まざるを問わず、似たような経歴の人は他にも多くいます。私にとっては、このような経歴は本当に楽しかった。」

SSJ記者
新谷さんの経歴を聞く限り、数多くの業界人と「繋がり」が生まれたのではないでしょうか?

新谷
「そうですね。過去の経験が新しい仕事と有機的に結びついて、どんどん新しい発想が生まれる楽しさがあります。何よりも、業界多くの人たちとの知古は大きな財産です。自分には知見が無くても、誰に聞けば良いという知見者のデータベースのようなものも出来上がります。」

SSJ記者
確かに、問題が起こった際、決して一人の力では解決できない事も多いと思います。
一人で抱え込むより、その問題を経験している人に力を借りられる人脈も、この業界には必須のように感じられます。
そんな新谷さんから見て、今の海運業界はどのように映っていますか?

新谷
「私は従業員数千人から数十人規模の海運会社を見てきました。そして、私にとっては必ずしも大手が安泰とは言えなかった。半世紀前から数十年間の海運業は過渡期にあったと言っても良いかもしれない。どの業種もそうでしょうが、会社も個人もぬるま湯体質ではやってゆけない時代です。」

SSJ記者
長年同業界にいたからこそ、見えているもの、感じているものがあると思います。
これらの話を聞いて、私自身、身が引き締まる思いになりました。

最後に

最後に
SSJ記者
最後にこれから海運業界で仕事をしようとされている皆さんへ一言お願いします。

新谷
幸い私が経験した海運業界は、その時々に与えられた自分の仕事環境に真摯に対応する姿勢を維持していれば、何処にでも自分を必要としてくれる場所がある、懐の深い世界です。何よりも、大量輸送という点で海運は今後もなくてはならない輸送手段です。環境規制やITという新しい要素も入ってくると、海運のすそ野はますます広がってきます。入社後しばらくは西も東もわからないのは皆一緒でしょうから。所謂下積みの時期に、慌てず騒がずじっくりと自己の基礎を固めながら、自分の会社だけでなく業界全体または世界という地理的な広がりも含めた大きな視野での観察眼も同時に養う努力を忘れない事。そして、機を見て自分のビジョンと言うか、やりたいことをアピールする。今だから言えることかも知れませんが、本当に訴えるものがあれば、「よしわかった!やってみろ。」と言ってくれる会社は幾らでもあると思いますよ。特に昨今は売り手市場。良い時代ですよ。これからの海運を背負って行く若い人たちには本当にエールを送りたい。頑張って下さい。