こんにちは。
本日は世界のフラッグのひとつで、今もっとも勢いのあるマーシャルアイランド海事局 日本支局にお邪魔してきました。
本題に入る前に、まず「フラッグって?」という方に簡単な説明をさせていただくと、フラッグとは船の船籍(国籍)です。
船は籍を置く国と国際ルールを順守して運航しています。
このように、事実上の船主の所在国とは異なる国家に船籍を置く船を便宜置籍船と呼び、日本でも多くの外航船が他国のフラッグを掲げ、日々運航しています。
では、なぜ日本の船主がわざわざ他国の国籍にする必要があるのでしょうか?
そう、皆さんもすでにおわかりのようにTAX(税)が関係しているんですね。
「パナマ文章」という言葉が少し前に話題となりましたが、この話はまた別の記事でお伝えしたいと思います。
(パナマ文章についてはこちら)
上記のような事も関係し、現在日本で作られる外航船の多くは外国籍の船で登録されています。
では、数多くあるフラッグの中で、なぜ今マーシャルアイランドが注目されているのかを
マーシャルアイランド海事局 日本支局 岡本雅治局長にお話をお伺いしたいと思います。
岡本局長の話をもとに、マーシャルを知ろう!
まず、マーシャアイランド海事局についての概要を教えていただきました。
マーシャル諸島共和国は人口6万人ほどの太平洋に浮かぶ島国で、そこの海事局の業務を請け負っているのが
IRI(International Registries, Inc.)いう民間会社です。
このIRIは、当初はリベリアの代理店として運営しており、社歴は60年以上と歴史のある会社です。
その会社の社長から岡本さんは直々にスカウトされて、この日本支店の局長になった経緯があります。
IRIの強みは?と質問すると「民間会社だからこそ、より良いサービスを求め運営されています。我々は常にサービスを進化し続けていかなければならない立場です」と話していただきました。
他国の大多数のフラッグは政府の機関が運営しているのに対し、このような民間経営は珍しいとのこと。
そんな理念のもと、今日まで運営を行ってきた結果、「世界の船籍シェア(GT)」で世界第2位まで成長したフラッグがマーシャルアイランド海事局です。
実際どれくらい伸びているの?数字で見るマーシャル船籍!!
まず、下記の数字をご覧ください。
世界の船籍シェア(GT)率 (2018年1月集計)
Panama 16.9%, Marshall 11.3%, Liberia 11.0%, HK 8.7%, Singapore 6.6%, Other45.5%
近年の増加数(隻数) 2014-2017
Panama -121, Marshall 1,167, Liberia 195, HK 272, Singapore 429
船の平均船齢
Panama 17.3, Marshall 8.1, Liberia 10.7, HK 10.0, Singapore 9.3
この数字からみてわかるように、マーシャルの隻数が圧倒的に伸びており、船齢が
若いことから、新造船を多く獲得している事がわかります。
また、今まで他国のフラッグで登録していた船が、途中でフラッグをマーシャルアイランドに変更するケースもあるそうです。
規模としては、世界で28拠点あり、約470名が所属しています。
属性としてはテクニカルで働く人が多く、そのテクニカルの強みを生かし、「DETENTIONが1番少ないフラッグ」という結果に繋げています。
USCGより過去13年間認定を受けた唯一の旗国でもあり、数字で見てもマーシャルの勢いは留まることを知りません。
他と違う具体的なサポートって何があるの?
例えば、マーシャルアイランド海事局日本支局では、サーキュラーを英語に加え、日本語でも情報を発信しています。
これははっきり言って、条約関係を担当している部署の方にはとてもありがたいことだと思います。
仕事上、英語を読むのは日常茶飯事ですが、日本語の情報を付け加えてくれることにより、情報を取りこぼさないメリットが生まれます。
また、やはり英語より日本語の方が理解度は高まるのは言うまでもありません。
このような実務面での付加価値はとても助かると思います。
...マーシャルのサーキュラーの多さは有名な話ですからね(笑)
しかし、この徹底された安全管理が船の安全性を保っている秘訣だと思います!
また、お客様からのお問い合わせを元に、独自の管理マニュアルを作成しており、それを利用できるのも、このフラッグの魅力だと思います。
現場の人の使いやすさを追求しているからこそ、作り上げられたサービスだと言えます。
まとめ
いかがですか?
ここまでで、少しはマーシャルについて理解が深まったでしょうか?
最後にマーシャルアイランド海事局について簡単にまとめてみます。
・マーシャルは船籍の増加率が世界1位
・テクニカルの部分で安心、安全が守られている
・日本語のサポートも充実している
上記のほか、今回、岡本局長にマーシャルの概要、実績をお聞きしましたが、それらも、なぜ今マーシャルが支持されているのか、納得のいくものばかりでした。
海事全体のことを積極的に考え、船の安全に取り組んでいる岡本局長。
すでに次のステップも視野に入れ活動しているとのこと。
まだまだこれからのマーシャルアイランド海事局から目が離せません!
⇒マーシャルアイランド海事局 日本支局へのお問合せはこちら
本日の業界人
- マーシャルアイランド海事局 日本支局
日本局長 岡本 雅治 -Masaharu Okamoto-
- 1947年11月28日生まれ。広島市呉市出身。
1970年広島大学工学部船舶工学科卒業後、造船技師となる。1970年に三保造船所に入社。1981年にロイド船級協会に入社。1991年からマリタイムビューローの代表を務める。2007年10月からはマーシャルアイランド海事局の日本代表に就任。
- 私の趣味
- クラシック音楽鑑賞